私と創造共育との出会いは、私が保育士として保育園に勤務していた時でした。
0歳児クラスの担任になった時、段ボール箱の中におもちゃが入っていました。その内容を見てみると、ぬいぐるみ、プラスチックの電話、型はめ、重ねコップ、起き上がりこぼし、手づくりおもちゃ…壊れているものも多く、おもちゃの貧困さに愕然としたことを今でも覚えています。
そこから私の、赤ちゃんのおもちゃ探しが始まりました。
探す中で私は二つのことを注目していました。一つ目は赤ちゃんにやさしい素材。二つ目は発達を促すおもちゃ。ヨーロッパのおもちゃ、日本のおもちゃ、素材はよくても納得できるものにはなかなか出会えず、その時に日本におもちゃ作家がいることを知りました。
見て周るうちに<さくらんぼ>と<ケルンボール>に出会ったのです。「これすごい」「私が欲しかったおもちゃ」「やっと出会えた!」
おもちゃの内容を知れば知るほど、「子どものことを知っている」「発達のことを知っている」と感動し、作家の思いや温もりをおもちゃから感じ胸がいっぱいになりました。
今でも、作者の一つひとつのおもちゃの成り立ちを聞くのは大好きで、いつも感動しています。
子ども達に渡すと、それはよく遊びます。大人の工夫次第では遊び方が変化して、遊びの幅は広がります。
今思えば、シンプルだからこそ変化でき、どのようにしても遊べるようにという作者の思いがあったからなのだと思います。
実践する中で、0歳児クラスの遊び・保育を見直すきっかけと、さらに遊びの大切さを問うことをより強く自覚させられました。
他の年齢の子ども達、年長さんまでも赤ちゃんの部屋で夢中になって遊んでいる姿に、この童具の持つ力のすごさを感じずにはいられませんでした。
「どんな人がつくっているのだろう」「他にどんなおもちゃがあるのだろう」「ここまで考えられているおもちゃはない」と、どんどん童具の魅力にはまり、私の「知りたい」という欲求は増していき、とうとう『童具子育て講座』に参加するようになりました。
その頃、保育士は保育園だけではなく保育園の外でも役割があるのでないかと思いはじめていたので保育園を辞め、保育士時代に実践していた遊びを提供し"遊びが学び"、遊びの中で共に学び育つことをテーマに遊びのアトリエ(親子・幼児・小学生)を始めていました。
子育て講座では、「形を通して見えない世界をみつめる、形を通してつながりをみつめる」
考えたこともなかったことに衝撃を受け、一つひとつ形を通して話されることがとても新鮮で自分の実践とつながり、更に参加者の色々な切り口から話されることとつながることが面白くてどんどん虜になっていきました。
和久先生の創造共育が私の中で確信に変わっていきました。
そして<ケルンボール>と<キューブダンシング>。形あるものからつながりをみつめることを視覚で教えてくれた童具でした。私がアトリエ開設を決意した原点でもあります。
また、共に育ち合う共育。
50歳は50歳児として遊びがある。大人は教える人ではなく大人も子どもも同じで、子どもから学ぶことを忘れてはいけないこと。
すみれはすみれであるように、個性を尊重する共育であること。
最後に、"愛から始まる"共育であること。
このことが最も確信になった要でした。
知れば知るほどこの創造共育とその元となっているフレーベル教育の深さと視野の広さと愛を感じました。愛がなければどんな素敵な教育でも意味がない。この共育を学んでいくうちに子ども達だけのものではなく、まさに人間教育だと思いました。
この共育をいろんな人に知ってもらいたい、誰でも望む人がいれば受けられる共育であって欲しい、特別でなくて当たり前の共育になって欲しいと思うようになったのです。
現在、アトリエ活動をする中で、子ども達から様々な課題をもらい、私なりに自然や生き物も取り入れながら環境づくりに励み、実践し、学んでいます。まさに"共に育つ"です。
私にとっては、子ども達と様々なものを見つめ、発見することが何よりも楽しくて面白いことなのです。
一人ひとりがどんなことを感じているのか、この共育をしていると、目に見えるものはごく一部で、目に見えないところに大事なものがいっぱい隠れていることを知ります。自分がどう思うか、どう感じるのか、一つも目には見えません。思考するうえでとても大切なことです。
先日悲しい出来事がありました。7年前に絵画モチーフとして山崎川から来たカメが亡くなりました。その前日か当日なのか、卵を産んでいました。卵と動かなくなったクサガメを子ども達にみせてお別れをしました。一つひとつ小さな出来事にも子ども達と共に関心を寄せていきたいと思います。子ども達はカメの絵を描いてくれたり、お墓を探してくれたり、追悼はいまも続いています。
創造共育のキーワード"多様と統一"、"秩序と自由"そして愛を持った調和の世界を、じっくりをモットーに、子ども達と共に育ち合っていきたいと思います。
"童具は宇宙"まさに積木をはじめとする童具、この共育は見つめれば見つめるほど世界が広がり、宇宙にまでつながる共育です。
子ども達の為にも、人類の為にも残さなければならないと思っています。
<わたしにとっての創造共育/瑞穂プレイルーム>の関連ページです
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