全国から寄せられた新しいお便り
アトリエに通い始めたのは、娘が1歳半の時でした。こだわりや自己主張が強い娘の子育ては大変で、それが成長の過程だと分かっていてもつい感情的に当たってしまう。当時の私達親子にとっては、アトリエに通うことが大切な息抜きの時間でした。
汚れるのが苦手な娘に代わり、いつも私が絵具の担当でした。色を指示するものの筆を触りたくない娘。絵具が手につくと怒りだし、何度も手を拭くことにこだわり、次は手を洗うことにこだわり…。このままでいいのかと不安な私とは反対に、温かく見守って下さる先生方や、比較や評価をせずありのままを受け入れてくれるアトリエの雰囲気のおかげで、積木やお料理など少しずつ好きな活動を見つけ、楽しめるようになってきました。
また、私自身の心にも余裕が生まれ、この子のペースでいいんだと思えるようになり、手や口を出しそうになってもグッと我慢し、娘の気持ちを尊重した関わりができるようになりました。活動を通して、子どもへの向き合い方に自信が持てたことは、私にとって大きな変化でした。
ある日のこと、いつものように隣の部屋からフレーベル保育の子ども達の楽しそうな声が聞こえてきました。見ると、童具や恩物をはじめとする良質なおもちゃや自然の素材を使って、それぞれ自由に遊ぶ子ども達の姿。「優ちゃんも一緒に遊びたい、あっち行きたい!」とガラス越しにじっと見つめる娘を見て、「このタイミングを逃してはいけない!」と、早速アトリエ活動と並行して保育にもお世話になることに決めました。
はじめての母子分離に、泣いてしまう日の多い娘でしたが、親の心配をよそに子どもはどんどん育っていくのですね。慣れてくると、「優ちゃん遊ぶからママは早くお出かけして」と言われることも。
お迎えに行くと、室内外に残った数々の「遊びの跡」が目に入ってきます。つながりのある童具や自然物だからでしょうか、どこを切り取っても周りと調和して美しく見えました。この景色を見て「おもちゃを散らかして」なんて誰が言うでしょうか。見惚れてしまうような遊びこんだ光景でした。色や形、並べ方にも子ども達なりの法則があるように見え、そこから子ども達の見ている世界を探るのが私の楽しみでもありました。
お散歩で見つけてきたお花や木の実、恒例の庭のトマトや紫蘇の味見。郵便屋さんにお医者さん、食べ物屋さん…身近な自然や生き物、先生やお友達とのつながりの中でどんどん広がる遊びの世界。生き生きと目を輝かせ、五感をフルに使って発見や表現する楽しさを存分に味わった一年でした。
現在、幼児コピカに通う娘は顔も手も絵具だらけになっても平気で、アトリエのお庭で泥んこ遊びをしたりと、「あんなに汚れるのが苦手だった娘はどこに行ってしまったの?」と驚かされます。思い通りに描けなかったら癇癪を起していた娘が、間違えて塗りつぶしてしまった葉っぱの絵を「葉っぱがかくれんぼしてる!」と先生と笑いあっている姿を見て、娘の心の成長を感じると共に、子どもを信じて見守ることの大切さに改めて気づかされました。
変わらず独自のこだわりを発揮している娘ですが、「それがなかったら優ちゃんじゃないからね」と丸ごと受けとめてくださる心強い中島先生。自宅ではアトリエのようにダイナミックな遊びはできませんが、我が家のリビングは足の踏み場もないほど娘の「遊びの跡」で埋め尽くされています。
アトリエは娘にとって心許せる特別な場所。ここで得たたくさんの目には見えない豊かなものを大切にして、子どもの「自ら育つ力」を信じ、寄り添っていけたらと思っています。
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