遊びや造形活動で創造力を開発するアトリエ

　私が和久先生の創造共育と出会ったのは保育士として働いていた18年前のことです。
　保育士5年目で初めて年長の担任を受け持ち、個性豊かな20名の子ども達を目の前にし、保育の仕方に悩んでいました。
　そんな時、保護者で、現在は鎌倉市大船で積木ワークショップをされている青木晴惠さんから「先生これ読んでみて！」と一冊の本を渡されました。その本こそが和久先生の『子どもの目が輝くとき』でした。
　当時の私は子ども達の対応に疲れ果てて、本を読もうという気力もなかったのですが、和久先生の本をめくっていくうちにあっという間に読み終えてしまいました。
　今でもメモが残っていますが、「無我夢中になる」という見出しの中で、「小さい時は本当にやりたいことをやりたいように心ゆくまでさせることがなにより大切！その中で無我夢中になる！その充実感を感じたらそれをさらに豊かなものにしようと人間は生きていくはずです」という文章を読んだ時、子ども達にやりたいことをさせてあげたいと思いながらも、いろいろな事を考えると出来ずにいる自分に気づきました。
　それからの私は子ども達の大好きな外遊びと生き物に触れるということをたくさん経験させてあげようと思い、天気の良い日は外で泥んこ遊びをしたり、生き物を探しに公園にお散歩に行ったり、思う存分遊びました。
　一人ひとりの要望に応えるということは簡単ではありませんでしたが、できる限り子ども達に丁寧に向き合うことを心がけました。そして20名の子ども達は無事卒園しました。ちょうどその時、青木さんは童具共育アドバイザーとなり積木ワークショップを計画してくださり、卒園児達と参加しました。
　たくさんのビーズのお舟で目をキラキラ輝かせて遊んだり、円筒ドームづくりで黙々と積木を積んだり、保育の中では見られなかった姿に出会いました。
　今はもう卒園児達は成人し、社会に出ていますがあの目の輝きは忘れることができません。
　あれから私自身も出産、子育てと経験し、我が子の玩具選びに悩んだり保育園の玩具について考えたりしている時、「そうだ、和久先生の積木だ！」と、すぐに青木さんの積木ワークショップに我が子を連れて参加しました。
　積木で黙々と遊ぶ我が子を見て、私も和久先生の創造共育を学びたいとすぐ『童具子育て講座』を1年間受講し、2年後には講師認定講座も受講して、アトリエ講師の資格を得ることができました。
　ここからがまだまだでした。保育園では創造共育をすることも出来ず、和久先生の「やりたいことができるといいのにね」という言葉だけがずっと心に残り、いつかアトリエを開きたいと思い続けながら保育士として20年勤務し、退職させて頂きました。
　退職してもすぐに開設にはこぎつけられず、あっという間に2年半が経ちましたが、やっとアトリエを開設する運びとなりました。これから和久先生の創造共育を実践していけることを思うと、本当にやりたいことに向き合えるチャンスが到来し、ワクワクしています。

　ここまでくるのに、青木晴惠さんに始まり積木がつないでくれたご縁でたくさんの方と出会い、支えられてアトリエが開設できたことに深く感謝しています。
　これからたくさんの子ども達やお父さんお母さん方と素敵な時間を過ごすことが、出会った方々への恩返しになると思っています。
　子ども達が無我夢中になれる環境を用意し、その中で子ども達の目が輝く瞬間を大切にしながら、一日一日一所懸命過ごしていきたいと思っています。
　皆様どうぞよろしくお願いいたします。ぜひ一度遊びにいらして下さい。