わたしにとっての創造共育 わたしにとっての創造共育

『揺るぎない軸』加古川プレイルーム支部長 星野由香

アトリエを開設してから21年経ちましたが、私の和久共育への思いはまったく変わることはありません。知れば知るほどに学べば学ぶほどに、アトリエの子ども達やお母さん達、創造共育に関わる人々と共に過ごす日々を一生の仕事として与えられたことに感謝してもしきれない思いでいます。
3年前に大病を患い、命に限りがあることを意識せざるを得なくなった時、(今は元気です)この先の人生もなんの迷いもなく、これは本物だと思える世界を自分の軸として持てる生き方ができている幸せを実感しました。
ゆるぎない和久共育への自信を私に与えてくれたのはアトリエで育った子ども達の姿とアトリエのお母さん達です。アトリエのお母さん達は開設当時から優しい方が多く、わが子のことだけでなく、他のお子さんのことも温かく見守ってくださり、子ども達の姿に共に感動してくださいます。初めは同じ考え方の方が通ってこられているからかと思いましたが、最近、気づいたことがあります。時代の流れから慣れないインスタグラムをやるようになり、いろいろ見るようになって、積木の世界ってこんなことになっているのだと、正直驚きました。
積木のハッシュタグがついている投稿を見ると、確かにおしゃれでかわいいけれど、もはや積木というよりは北欧雑貨のような世界(否定しているわけではなくその世界はそれで素敵だと思います)。おそらく日本では一番最初に和久先生が伝え続けてきた積木や基尺の概念は、今や私たちの理解とは違う風に解釈されていることもインスタグラムによって知りました。
積木をこだわって選びたいという方は、積木を選ぶ際にこういう映像も目にしていることと思います。その中で、あふれかえっている情報から童具館の積木を選んだ方はすごいなあと素直に感心してしまいます。本物を見抜く目と感性のある方が、アトリエにいらっしゃっているのだということに気づきました。
親子コピカから通われて長年子どもの成長を共に見守ってきたお母さん達とは、保護者というよりも同志のような存在です。子ども達がそのままの姿を受け入れられる世界をつくってあげたい、子ども達に本物の環境を用意してあげたいと共に願って歩んできました。
加古川プレイルームは定員の関係で6年生が卒業なのですが、卒業式の時によくお母さん達が言ってくれる言葉があります。「私は自分には自信がないけれど、子ども達をここに通わせた自分の選択には自信があります」「子ども達の教育の軸としてアトリエを選んだことを誇りに思っています」私と同じだと思いました。私も自分には自信はないけど、和久共育には絶対的なぶれない自信を持っています。やがて教育者としての自分にも少しずつ自信が持てるようになりました。そしてそうなれたのは、アトリエで育った子ども達の姿が証明してくれたからです。
どこのアトリエの先生も同じことをおっしゃいます。「アトリエの子はやっぱりすごい!」私たちは21年間、生きた証拠を見てきました。
また、私達はアトリエを中心にいろんなお仕事の依頼をお受けします。このところ劇的に増えてきました。いい学校に行って、いい会社に就職という流れが失われつつある今、幼児教育への関心が高まっていることや、保育要領が子ども主体へと変わっていったことも大きな理由であると思います。
そこでアトリエ以外でも色んな子ども達と出会い、子どもってすごい、人間ってすごいということを実感するようになりました。
先週は大学で保育士を目指している学生さん達と5日間の創造共育集中講座を行いました。その中で私が一番話していたのは、"みんな違ってみんないい"という言葉でした。
ともすれば有り体にとらえられてしまうこの言葉を、いかにして深く重みのあるものにするか。なかなか和久先生のようにはいきません。伝えるには実際に体験してもらうしかないのです。
遊びや創造活動を通して学生さん達に、みんな違うのだということを体感してもらいました。そして受け入れるということの大切さ。そこからしか何も始まらないということ。そればかりを話していたように思います。
この仕事をしていると、自らの子ども時代を何度となく振り返ります。その時にいつも思うのは、親以外でどんな自分でいても自分のことを大好きでいてくれると思える大人と出会えていたら、そんな存在が一人でもいてくれたら、子ども時代にどんなに心の支えになっていただろうということです。
私がアトリエの先生になると決めた時、何ができなくてもそれだけはやろう、子ども達から「この先生はどんな私であったって私のことを嫌いにならない、私のことが大好きなんだ」と確信してもらえるような、そんな先生になりたいと思いました。今もそれは変わりません。
今は子ども達だけでなくお母さん達にも同じ思いでいます。私が初めに思ったその思いは、和久先生がいつも仰っているように、"受け入れる"=「その子のそのままを受け入れる」ということだったのだと、今にして思います。
学生さん達にもそのことは何度も伝えました。人は受け入れられているから安心できる。安心できるから集中できる。集中するから自分では思いもよらない力を発揮する。そして発揮した力(表現)から何かを発見して発見したことをやってみたくなり創造活動が繰り返される…受け入れる(愛)と集中力と創造力がつながりました。
何度も和久先生から学んできたことだけれど、それが実感として自分の芯となったのは、やはり創造活動を行う子ども達の姿でした。子ども達にとってのアトリエは大人が思っている以上に、子ども達自身が思っている以上に、安心して自分を表現できる子ども達の居場所であることを思います。
それと子どもには本物の環境が必要なこと。いくら集中したくても、深めていくものがなければ飽きてしまいます。深めていける、広げていけるものとは本物であるということです。子どもだからこそ本物に出会わせてあげたい、本物だからこそ子ども達に伝わるものがあることも、アトリエの創造活動や童具館の積木から実感してきました。私達大人が心を尽くすべき役割は、本物の環境を用意することです。
童具館の積木は間違いなく世界一と呼べるものです。品質も哲学もここまでこだわっている積木は童具館をおいて他にはありません。童具は和久先生が一生をかけてつくった小宇宙です。童具は子ども達が目にする万物が抽象化された世界、だからこそ、童具館の積木は基尺にも幾何学的法則にも数量的法則にも矛盾を許しません。自らの生き方に、これだけは本物であるという確信を持たせていただけて、幸せに思います。
加古川プレイルームには今、将来アトリエを開設したいというお母さん達もたくさんいらっしゃり、童具館で子育て講座や認定講師の研修を受けられています。
自分の一生にゆるぎない核がもてたかどうかで人生は変わってきます。
「私はこんな生き方がしたい」と思う生き方を、是非お母さん達もしてください。
そして子ども達の人生は子ども達のもの。
自分の人生は自分で決める、そんな子育てを楽しんでくださったらと思います。

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