品川大井プレイルーム/会員様のお便り
我が家には、長男(11歳)、次男(10歳)、長女(6歳)の3人の子ども達がいる。3人とも品川大井プレイルームに通っている。自宅から少し遠いので、車で送っていくことが多い。
「あんまり早く行き過ぎるとダメだと思うよ」
「大丈夫なんだよ。何時?いいよいいよ、もう行っても」
弾むように車から駆け出して行った。迎えに行くと、ホカホカに上気した顔の子ども達がいる。そして、いつまでも帰りたがらない。今日もそうだった。精神的にデトックスされ、充電完了したような我が子達が戻ってくる。
子どもを授かったとき、のびのびと育ってもらいたい、となんとなくぼんやり思っていた。そう思わない人はいないだろう。しかし、よくよく思い返してみると、私は自分の子ども時代を忘れていて、妻は年子の男子という生き物を知らなかった。
賃貸マンションの壁紙にはバンクシーが出現し、窓にはテープの痕、床にはマジックとシミの一体化した前衛芸術が続々と創造されていった。その上、我が身をトレースするように、彼らは片付けを知らない。遊具と文房具と家具と道具は出しっ放しだ。最初は微笑ましく思っていたものの、現実的にならざるを得ない。自分の嫌な面を提示されるいらいらと、子どもに悪習慣を受け継いでもらいたくない、という思いが徐々につのっていく。いつしか「のびのびと」が家庭から薄れていった。子ども達は、野比のび太が大好きなのに。
そのような時に、妻が幼稚園で和久洋三先生の講演を聴いてきた。我が家から失われたものが得られる気がして、早速、品川大井プレイルームに伺った。小島先生に見守られながら創作活動を体験した長男と次男は、その日からわくわく創造アトリエに夢中である。兄達を垂涎のまなざしで見ていた娘も、今では通うようになった。毎回、ご機嫌で興奮状態である。子ども達の集中している創作中の写真を見せていただくと、昔から変わらない口をとんがらせたような表情が健在だ。この顔を見たかったのだ。
さて、持ち帰ってくる大量の作品群はどうなるのか。絵は、落書きを隠すかのごとく壁を埋めていき、一部は祖父母の家にもらわれていった。残った壁もわずかになってくる。絵はまだどうにかなるが、問題は立体作品だ。当然、展示コーナーは飽和していき、壊れたものや本人達が納得したものは、さようならをしようとなっているものの、なかなか簡単に新陳代謝が進むはずがない。ほこりをかぶっていようが、欠けていようが、未完成だろうが、作品の思い入れは本人達にしか分からない、のだ。
生活感があり過ぎる我が家の中でつくため息さえも幸せだった、と振り返る時が来るのだろうか。
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