大濠公園プレイルーム/会員様のお便り
「ママ!もっと積木をちょうだい!足りないよう!」
道路になったり、ソファーになったり、動物園になったり、福岡タワーになったり。
何にでも変貌するレンガ型の積木は、買い足してもまた足りなくなり、狭いマンションのリビングの一角はすぐに埋まってしまう。
たくさんの数と種類の積木を思うがまま使えて、もっと広い空間で思い切り遊べる場所はないかと探し、たどり着いたのが和久洋三のわくわく創造アトリエだった。数多ある造形教室といわれる教室を探したが、自由な感覚遊びに近い教室から、先生のお手本通りに上手につくることを良しとされる教室まで幅広くあった。教室を探す中で、和久先生の著書に偶然出会ったのがはじまりだった。
また、モンテッソーリの保育園に通っており、とても素晴らしい園なのだが造形活動が少なく、決められた教具で決められた通りに取り組むお仕事は、整理されすぎていて遊びの余白が少ないと感じることもあった。本人も「もっと自分のやりたいようにしたいの」と言うこともあった。
さらに、私たち夫婦は建築業に従事しており、子どもに創造する喜びを知ってほしいという思いがあった。建築とは、住み手・使い手を想像し、絵を描き、そのつくりかたを考えること。そこでは、自由に想像し、それを秩序立てて組み立てるという両軸が必要になる。あるがまま自由に存在しているかのように見える自然の美しさの中には整理された秩序があり、どちらか一方だけでは成り立たない。「和久洋三のわくわく創造アトリエ」の活動には、自由な発想と感覚遊びの中に連綿と繋がるテーマ(秩序)があった。上記の点に共感し、3歳半の冬、体験を申し込んだ。
体験当日、どんなにか喜んで作り上げただろうと期待して行った。が、人見知りの強く、初めての場所で緊張しがちな娘は、ほぼ一言も言葉を発することもなく、筆で色を重ねる活動に興味を示さず、途中で離席し絵本を読み始めた。結局私がほとんど作り、親の期待は初回から打ち破られた。しかし先生方は、無理に活動に戻すことなくおおらかに見守ってくださった。その後体験を重ね、第二子出産を経て久しぶりに積木遊びに行ったときも、相変わらず人見知りで固まっている娘。またか…とすっきりしないまま迎えに行ったとき、「ママ!これ見て!」と大きな声と満面の笑顔で出迎えて完成品を見せてくれた。真冬だというのに、汗だくの姿で!!その瞬間、娘の心の殻が破れ、自分の思うまま表現できたことを理解した。
そして、他の習い事の体験教室では次に行きたいと言うことのなかった娘が、「ここに通いたい!」と自ら選びアトリエに通う日々がはじまった。
はじめて体験に行ってから約1年、すべてを丸ごと受け入れてくれる先生方のもと、コツコツ自分の中の心象風景を表現している。我が家の宝物は着実に増えつづけている。教室に通い始めてから、散歩中自然に触れたときに発する言葉の、色の表現が豊かになったと感じる。「つくること」に対して揺るぎない自信がついたようで、「みかこちゃんはなんでもできる!なんでもつくれる!」と叫びながら、益々楽しんで料理のお手伝いをしてくれる。
慎重な割に、意思が強く頑固気質な娘は、私の言うことにまるで耳を貸さないので自分の思うままつくっていく。でもそれでいい。きっと子どもの世界には親はあまり踏み込まないほうがいい。宇宙のように果てしなく広くて深い精神世界を理解などできるはずがないのだから。
「こうさせたい」という親の思いではじまった教室探しは、いつしか「娘のあるがままでいい」と思いが変わっていった。きっとそれは、娘をあるがまま受け入れてくれた先生方との出会いがそうさせてくれたのだ。
きっとこれから、親が導かなくても娘自ら、自然の色の中に美しさを感じ取り、素材の違いを肌で感じていくのだろう。「そこは柱で支えて…屋根の勾配は…」などとつい挟みたくなる余計な口出しは無用。自ら、積木の中に世の物理を発見していくだろう。そしてこのアトリエで芽生えた自信は、大人になっても深く心に刻まれているだろう。
気乗りしない日も、固まっている日もあっていい。娘が娘のままでいられる第2の居場所を見つけられたと、先生方には深く感謝しています。今後ともよろしくお願いいたします。
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