神戸岡本プレイルーム/会員様のお便り
我が家では、七歳(小一)と四歳(年少)の二人の息子が、わくわく創造アトリエでお世話になっています。
長男が生まれた時、そのあどけない存在が愛おしくて、眠らずにずっと見つめていたいと思ったことが、今でも忘れられません。
私のお腹から生まれてきたけど、この子と私は別の人間なのだから、私の価値観を押し付けるのではなく、この子が自ら育とうとする力を信じ、素朴に育てようと心の中で誓いました。
親となって数ヶ月目に、テレビの番組で和久洋三先生のことを知り、一歳の誕生日に積木を一箱購入し、その後、少しずつ買い足しながら、アトリエにずっと興味は持っていましたが、住まいが大阪なので「神戸には遠くてとても通えないなぁ…」と諦めていました。
そんな中、長男が年中になった春、アトリエ活動に体験参加させていただき、長男が目を輝かせて球の活動に耽っているのを見て、入会を決意しました。躊躇していた理由であった一時間弱の電車の時間も、今では本の読み聞かせの贅沢な時間となっています。
次男は二歳半から親子コピカに入りましたが、私は次男と一緒にアトリエの活動に参加することで、「わくわく創造アトリエ」が行っている活動の奥深い部分をいろいろと知ることができたように思います。
例えば、それまで私は、《長男を預けて、お迎え》し、活動の《結果》である《作品》を見て、「すごいね!頑張ったね!」と声をかけていましたが、褒めながらも実際は、長男の《作品》は疑問を持つようなものも多く、心の中で「どうしてこうなったの?」と思わざるを得ないような《作品》も多々ありました。
ところが、親子で活動に参加すると、「どうしてこうなったのか」が解ってきました。
子供達が積木や絵具やボンドの《面白さ》に心動かし、目を輝かせ、赴くままに、形をつくったり、手で色を重ねたりしていくと、とても美しい形や配色になっていきます。子供達はそれが嬉しくなって《美しい状態》でやめずに、どんどん手を加えて楽しもうとします…混ぜて、混ぜて、混ぜて、結局、「あらあら、お茶の色になっちゃったね」と言う感じ。
昨年の夏休み、年長になった長男も親子の活動に振り替えてもらい、親子三人で活動に参加させて頂きました。私は、長男のどこか雑なところが気になって仕方がないのですが、ある日、長男が大好きなピンボードで遊んでいると、とても美しい対称的な線画を創りあげていました。
《シンメトリーにするとバランスが良くて美しい》ことなど、誰も教えていないのに子供は遊びの中で、それを感じ、発見し、つくり出す…。和久先生がおっしゃる『多様な情報を関係づけて統一化する力(まとめる力)』かも知れません。
そして、私が「やるなぁ」と思った瞬間、長男はワクワクしながら、変更し(くずし)はじめ、そのうち、ぐちゃぐちゃになってしまうのですが、これは和久先生のおっしゃる『統一された情報を多様化する力(応用力)』の途中なのでしょうか(笑)…長男の場合、そんな応用力に至らず、先生の「終わりですよ~」の声で《完成》し(たことになり)、飾られるのですが、私はこれを《完成品》と呼ぶのは少し違うように思えてきました。
《美しい状態でやめる》とか《美しい時点が完成》と言う発想は、大人目線で《見栄え》を気にしているだけで、子供達は自由にまとめたり、くずしたりすることで、《発見》を無限に楽しんでいる。私が長男のお迎えの時に見ていた《作品》は、そのプロセスの一部分でしかなく、飾られていた《作品》は創造活動の一部でしかない…そもそも、子供達の創造活動には、終わりや完成などは無いのに、大人が勝手にそれを決めてしまっているに過ぎないのかも知れないと最近は思えてきたのです。
また、長男と次男を一緒にアトリエに通わせていると二人の個性のようなものも見えてきます。
色を塗る時に、塗り込まずに余白を残す長男としっかり塗りつぶす次男。おやつを頂く時にくだけた姿勢で食べる長男と背筋を立てて正座で食べる次男。思いついたら自分で確かめないと気が済まない長男と周りの様子をしっかりと感じ自分に落とし込む次男…全く正反対な二人ですが、アトリエの活動を通じて、二人が生まれた時に感じていた《私の価値観を押し付けるのではなく、この子の自ら育とうとする力を信じ、素朴に育てよう》と言う気持ちを、再び想い返させて頂いているように感じます。
自分も子供の時があったのに、子供のことは大人がちゃんとした子供目線のアンテナを持ち合わさないと理解できない…アトリエ活動を通して感じることですが、子供達の創造活動の中で本当に学ばないといけないのは、子供達ではなく、私達、大人なのかも知れませんね。
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