創造共育宣言 第1章-6
新しい子どもの誕生
秩序があるから自由が成立する
人間はあらゆるものの中に秩序=必然を求めます。
4歳前後になると「なんで」「どうして」とうるさいほど質問するようになるのはそのあらわれです。あらゆるものごとの中に「答え=因果関係=秩序=必然」があることを4歳児はすでに直感しています。
人類は永い歴史の中で、秩序によって自由が獲得できることを知ってきました。しかし、秩序は時に制約になります。制約は束縛を伴うこともあります。その点で制約と自由は対極にある概念とも言えます。しかし、人間は常に対極にあるものを意識しながら認識を深める存在です。愛 - 憎、喜 - 悲、明 -
暗、生 - 死、その中でものごとの本質を探ります。秩序と自由も表裏一体の言葉です。
子どもは何人かで遊ぶ時、かならずルールをつくります。
自由な表現活動をするために俳句ではわざわざ5・7・5、和歌では5・7・5・7・7の語数の制約(ルール)を設定しています。
画家は色彩の秩序を取り入れた絵具を使って長方形のキャンバスに絵を描き、作曲家は五線譜の中で創作をくり返します。5・7・5も絵具も長方形も五線譜も秩序です。制約です。
舞踊や花道、芸道と言われるものは究極に「型」という秩序を形成していきます。
そして、最初から決まりごとなどあろうはずはないのに言語の中にはいつの間にか文法という秩序がつくられています。
国家に法律が存在しなければ社会は機能しなくなります。
宇宙には万有引力の法則があります。エネルギーには不変の法則があります。
なにをとっても、どこをとっても秩序があることが解ります。
この秩序を生かし利用して、人間は新しい世界を創造します。
人間が秩序を発見し、表現する生命であることが解ります。このことを理解したうえで、「自由保育」や「子どもを自由に育てる」ことの真意について考え、そのために私達大人が何を子どもに用意できるかを考えなければ、「ほっとけ保育」「放任教育」に陥り、保育者も教育者も自らの存在理由がつかめず、向上心のない事故防止を優先順位の筆頭にした指導者になります。
そこで、言及しなければならなくなるのが次のテーマです。
(和久洋三著/『創造共育宣言』より抜粋)
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