遊びや造形活動で創造力を開発するアトリエ

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覚王山プレイルーム/会員様のお便り

たくさんの「出来た!」達成感
覚王山プレイルーム
保護者会員 山田 紀子 様 寄稿
小学生コピカ 山田 瞬平 くん (11歳)
覚王山プレイルーム

 瞬平がアトリエに入会したのが二歳のとき。この春で十二才・小学六年生となる今年、アトリエ十年目を迎えます。途中、妹と弟の出産での《産休》、転居による休会などを経つつも、親の私自身がアトリエを『辞める』ことを考えなかったこと、瞬平本人も「続けたい」と通い続けたこともあり、幼稚園と小学校を足したよりも覚王山プレイルームと勝田先生ご夫婦、そしてWAKUメソッドとのお付き合いの方が長くなりました。
 入会当初はまだ「幼児教育」が専門で、幼稚園から小学校に上がるときが退会か継続かという時代でしたが、今はアトリエも講師の先生もその時間分成長し、小学生クラスを続けるのは普通になり、むしろ中学生になっても通えるのか、カリキュラムはあるのか、という問題が出てきたほどです。
 十年という節目を迎えるにあたり「ずっとかかわってきたWAKU メソッドとは、アトリエ活動とは、私たち親子にとって何だったのだろう。」という思いが沸き起こってきました。
 もちろん母親としては、二歳のときに初めて出会ったアトリエ活動に感動し、和久先生の講演会で子育ての指針とアトリエを続ける喜びをもらい、勝田先生にずっと成長を見守ってきてもらった背景があるので、アトリエに通わせることは「いいことだ」とずっと信じてきたわけですが、では通わせたことで何かが変わったり違ったりしたのだろうか、と。
 ちょうどそんなことを思い巡らしていたときに、勝田先生からこの原稿依頼がきました。すごいタイミングです。そこで、親の感想はあくまで客観的視点と『想像』なので、今回は子ども自身がこれまでのアトリエ活動を通して実感していることを直接聞いてみようと思い、彼に様々なインタビューをしました。その中から一部をご紹介します。
―十年やってきて、例えば二歳のとき、五歳のとき、十歳のときでは、何が違うと思う?たとえば積木なら―
「二歳の頃は積むこと自体がおもしろい。五歳のときなら積んだり並べたりをいろいろ工夫するようになる。どうやったらたくさん積めるとかぴったりになるとか。十歳になったら積木の置き方にも自分の好みや試行錯誤が出てきて、直方体の置き方も手前に向かって二段積むことでレンガのような「線」を見せたり、三角を置くことで斜めの線を「見せる」ことを意識したデザイン性を入れたり、実験的な置き方をやってみることもある。
 それから、例えば『建物』というテーマが出たなら、二歳は積木一個をビルや家にみたてたり、ひたすら積んで「大きいのが出来た!」「高いのが出来た!」の世界。五歳になると、家にもいろいろ種類があると知っているから、形を変えたり屋根を工夫してみたり。駅舎とか学校とか好きなもの、知っているものをどんどん作ってみようとする。それが十歳になれば『建物』と言っても何百という種類の建物の知識があり、それは家だけでなくいろいろな様式の建造物や世界遺産だって入る。そこから自分の作りたいものを《選択》し、全体のイメージを見通して創り上げていこうとするし、それが出来るだけの技術がついている」との話です。
 まさに単純から複雑へ、思考力・創造力が育っていく過程がみてとれます。その複雑なものを表現するのは単純な積木。童具の積木が成長の物差しになるという意味がよくわかります。誰からも言葉で教えられなくても、積木をやり続けたことで彼なりに理解していました。
―小学校まで続けていてよかったと思う点は?―
 この質問には、小学校になってからのほうがずっとおもしろいそうです。幼稚園までは単純に「楽しい」けど、小学校に入って勉強(知識)が増えていくと、実はアトリエでやっていることの意味・意図がわかってきて「そうだったのか!」と納得・合点することがたくさん出てくるといいます。そしてそれは具体的に三年生からと彼なりに分析してくれました。理由は、一・二年生の間は勉強も始まるけれど、まだまだ内容も簡単で、世の中のことがぼんやりとしか理解できていない状態。でも三年生になると、学校の勉強でも国語も算数も急に難しくなるし、理科や社会の教科が増えていろんなことが専門的に詳しくなっていく(細分化されていく)。でもその分、自分のまわりの世界がどんどんクリアに見えてくる。知識が増えることで世の中の物が様々つながり関係していることがわかってくる、といいます。
 童具の良さは組み合わせたときに「ピタっ」と一致する世界が用意されています。たくさんの一致は快感です。そしてアトリエの活動は大きな「形」というテーマのもとに「つながり」を感じるカリキュラムが組まれています。日々の活動も導入から作品までがつながっています。この「一致の快感」と「つながり」をたくさん経験できることこそがアトリエを「楽しい」と思うのかもしれません。
 またアトリエではモザイクも様々な活動の導入・メイン活動・自由なパターン遊びなどに使われます。これも積木と同様、小さいころはひたすら並べる、パターンボードに埋める、という作業としての遊びからスタートします。これが年齢が上がるとともにその中から形の規則性、色の調和・不調和、パターンのリズム、秩序を見出していきます。秩序を発見するとそこに「美」を感じるようになります。子どもは何度もそれを体感します。
 興味深いのは、アトリエのモザイクを彼が例えにしたこと。世の中を知ることはちょうど様々なパターンを駆使してモザイク活動をやるときと同じ感覚なのだとか。パズルやゲームならピッタリあう答えを探し、算数や数量の世界なら様々な数字や数式をあれこれ当てはめてみたり、歯車をうまく噛み合わせることで大きなエネルギーを生み出すことになったり。言葉の世界も一番表現としてあうものを試行錯誤して組み立てて文章を作り上げていくことと同じ。子どもなのにそんな視点を持っていたことに驚きです。
 もちろん、高学年がゆえの悩みもあります。アトリエに通った年数と学校の図工の成績は正比例しないときもあることです(笑)。アトリエの活動と学校教育での目的にはズレがあるのを子どもも実感します。アトリエでは作品への過程と本人の意思を尊重してくれますが、成績をつけなければならない学校では、出来栄えと結果がよくなければならず、そこはどうしても親子でジレンマが生じるところかもしれません。
―では、アトリエでやっていることが将来役にたつと思うか?―
「思う。それは中学かもしれないし高校かもしれない。もっとずっとずっと先かもしれない。でもいつかどこかで役に立つときがきっとくる」
 これを聞いたときに私はぞくぞくっとしました。自分のやっていることがたとえ今すぐ結果が出なくても、遠い未来の自分に確かに《つながっている》と確信している。これはアトリエを通して、たくさんの「出来た!」達成感を経験しているからだと思います。そういう答えを出せる子に育ったことに感動しました。これが現時点での答えかなと思います。
 「でも、なんだかんだいってアトリエはやっぱ楽しいんだよ。だから続けたい!」
 インタビューではほかにも「へ〜〜」という話をたくさん聞かせてくれました。瞬平、協力ありがとう。二人で語り合って、すっきりした気持ちでこの一年のアトリエを楽しめそうです。

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